--------

スポンサーサイト

上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。
2007-01-30

今月の映画 「墨攻」


映画墨攻


中国が七つに分かれて戦っていた時代。趙と燕の国境にある粱城は、趙によって攻撃されようとしていた。10万の趙軍に対し、梁城の全住民はわずか4000 人。頼みの綱は墨家の救援部隊だったが墨家は援軍を拒否。しかし墨家の革離(かくり)がたった1人で駆けつける。兵に関する全権を粱王から与えられ、見事な策で梁城を守り、民の信頼を得る。しかし革離の人気に嫉妬した王や側近は、やがて革離を謀反者として排除しようとする・・・・。


墨家
=中国の昔。戦乱の世で「非攻」を掲げ、弱者を守るために戦闘のプロとなった思想集団。彼らは儒家と並ぶ勢力を誇ったが、秦の時代に忽然と消滅。その後二千年の間に史料がほとんど失われてしまった墨家は今では一切が謎に包まれた存在となっている。


私は読んだことがないのだけど、海外で非常な人気を博したコミックを、日本、韓国、香港、中国の三ヶ国で映画化したという大作である。
豪華なキャスト、戦闘シーンの迫力やセットの細やかさ、劇画をそのまま実写にしたようなシーンのてんこ盛り。
確かに見ごたえのある作品である。


主役、革離には香港が誇る大スターアンディ・ラウ。


とにかく、かっこいいぜアンディっ!←実はファンw


アンディを見るためだけに観てもファンなら損はない。(と思う)
まあ、少々悩みすぎのきらいはありますが。


もちろん他のキャストも三カ国のプライドをかけてスター&注目株が目白押し。ライバル巷淹中には韓国が誇る俳優アン・ソンギだし、ヒロイン逸悦を演じるファン・ビンビンもきかん気そうなお嬢さんぽさがかわいい。(でもあの体で本当だったら鎧着てとても動けないと思うんだが)。
王様のこれでもか!な暴君ぶりもいいし、若君役の青臭さも悪くない。


しかし、しかしなのだけど。
観終わった後のこの苦さはどうなのか。


一人で国を助けた英雄は裏切り者となり、そしてそのために平和降伏するはずだった国は戦闘に巻き込まれ多くの人が死んだ。家族のためにスパイとなった少女は暴徒に殴り殺され、プライドをかけ戦った名将は死を選び、国を愁う次期君主は悲劇の死を遂げる。
最後に残るのは、暴政の限りを尽くす悪王と口だけの取り巻きだけ。
むなしくならないはずはない。


原作があるものだからある意味仕方ないが、この映画で語られているものは「正義は必ずしも善ではない」ということ。
十論を主眼に置いた墨家の考えは一見素晴らしい思想に思えるが、結果的に多くの犠牲を強いる結果になった。現実は思想よりも強い。
勝つことがエライともけっして思わないが、勝ちつづける限り悪も滅びない。まるでどこかの大国のように。

だからこそ、愛する対象守る対象を間違えてはいけないのだ。


「お前は愛する対象を間違えている」


助けた奴隷に救われた革離は、一度は逸悦への想いから彼女を助けに向かおうとした。けれども結局”自分の守っていたはずの国”を救う方を優先し、その彼の策で彼女はなすすべもなく囚われの身のまま死ぬ。
そのことに苦さはなかったはずはないだろう。
確かに彼は国は救ったが、それは果たして救うべき存在だったのだろうか。


ここで語られることは、今の世の中もしかしたらきわめて現実的なことなのかもしれない。
けれどもできるなら、だからこそ虚構の中でくらい夢を見たいし、見せて欲しいと思う。

スポンサーサイト
2007-01-26

国立能楽堂 狂言の会

先日に続きオークションで安く落としたぞ、第二段。(笑)
国立能楽堂で行われた「狂言の会」を観てきました。



先日は東西王者の対決だったが、今回はさらに善竹家の狂言も加わり豪華絢爛三つ巴。おまけに愛する千之丞師のシテに千作御大のアドという兄弟対決(対決じゃないって)という見所も加わるゴージャスさ。もちろん野村万作+萬斎親子の共演もきっちり入ってます。
これで2600円なら翌日になにが控えていようが駆けつけるってもんでしょう、うん。(だから自覚ないだろうお前)


千之丞師のシテ+千作御大のアドの「鍋八撥」はさすがの出来だったが、今回一番思ったのは正邦さん上手くなったなあ、ということ。もちろん次期当主、うまいのは当たり前なんだけど(で、前は下手だったとかそういう訳ではけしてないけど)安定度が増したというか、筋がきっちり通ったというか、なんか貫禄が出てきたたなという感じがする。千五郎当主にますます似てきたという話も。(笑)
逆に千之丞師はどんどん千作さんに似てきたというか、今まで濃厚に漂っていたクールさがだんだん柔らかくなってきた気が。

考えれば千作御大は既に80歳も過ぎ、若手若手と言われてきた正邦さん達TOPPAメンバーも三十代半ばのまさに脂ののりきった時期、世代交代とは言わないけれども、いつのまにか時間がしっかり流れているんだなあ。
そんなことをしみじみと思ってみたり。


そして前回に続き拝見した野村親子の共演。やはりここの家の狂言は非常に計算高い(褒めてます)クレバーな演技です。なんていうのか、からくり人形の動きというか、動きにも表情にもタメがあるのがここの特徴なんじゃないだろうか。
狂言とは全然関係ない話なんだけど、踊りなど上手い下手を判断するのにスチールカメラで撮ると一発でわかるんだよね。何故かというと、上手い人間は必ず” 止まる”瞬間があるから。見せ場をわかって動くからメリハリがあるし、それを計算できるということはそれだけのテクニックがあるということ。
それに通じるものがなんとなくこの家の芸風にはあるように思います。


そしてやっぱり狂言単独では初めて拝見した善竹家の狂言。同じ大蔵流でも茂山家とは全然違うのがまた面白い。どっちかというと武家っぽい。地味だけど確実って感じかな。
十郎さんの太郎冠者は非常にこなれていてキュート(って誉め言葉もどうなのか)、こんな”じいや”が欲しい。(笑)

それにしても富太郎さん、あまりに名前通りの見かけにびっくり。
もしかして狙ってるのか?(苦笑)


前回も書いたけど、こういう色々な芸風をまとめて観る機会は「狂言とはこういうもの」という思いこみや片寄りを減らす意味でももっともっとやっていいと思う。
活動している地域などもあるからなかなか難しいだろうけど、もっといろんなところで機会を設けて欲しいものです。

 

2007-01-18

今月の映画 「ドリームガールズ」


映画ドリームガールズ-2

映画ドリームガールズ-1

仲の良い友人同士で作ったコーラスグループ“ドリーメッツ”としてコンテストに出場したエフィー、ディーナ、ローレルの三人。彼女たちの才能は野心的なマネージャーの目に留まり、スーパースターのジェームス・“サンダー”・アーリーのバック・コーラスとしてデビューすることになる。様々な紆余曲折を経ながら、またたくまにスターダムへと駆け上ったドリーメッツだが、その座とひきかえに多くのものを失ってゆく・・・・・。


いやー、面白かったっ!!


古いところでは「天使にラブソングを」新しいものでは「シカゴ」や「ムーランルージュ」などのミュージカル系歌って踊る映画が大好きである。MTVみたいなミュージックビデオも観れば踊っちゃうし(最近は倖田來未嬢がお気に入り♪)劇団四季の公演をキャスト違いでせっせと観に通った頃もあった。
全編歌と踊りの映画があっても私の場合全然困らない。
(普通はげっそりだと思うけど)

この「ドリームガールズ」はまさにそんな”ほぼ全編歌と踊り”の映画である。
もう、はっきり言ってストーリーなんかどうでもいいってな勢いだ。


以上、感想終わり。




・・・じゃなくって!



元々がブロードウェイで大ヒットしたミュージカルの映画化だから歌と踊りが下手だとどうしようもないが、さすがにそのあたりのクオリティは申し分ない。
主役のくせ者マネージャー、カーティスを演じるのはアカデミー主演男優賞に輝くジェイミー・フォックスだし、もう一人の主役ディーナを演じるのは世界の歌姫ビョンセ。おまけにローカルR&Bスターを演じるエディ・マーフィの歌のうまいこと!ってか、最初エディ・マーフィと気が付かなかったくらいの別人ぶりには感動さえ覚えるくらいだ。

特筆すべきはエフィ演じるジェニファー・ハドソンの歌唱力。演技力も負けず劣らずピカイチでラストシーンなんかどう観たってエフィの方が主役に見える。はっきりいって歌姫ビョンセを思いっきり喰っている。
これがスクリーンデビューにも関わらず先日ゴールデングローブ賞を取ったらしいが、納得しきり。歌手になっても充分食べていけるよ、ホント。


話題の十キロの減量に挑戦したビョンセはとにかくひたすら美しい。カバーガールの撮影シーンなどため息が出るくらいだ。(まったくもう、どうしてこう同じ性別と思えないような人があちこちに存在してるのかねー)
しかし演技力のせいなのか脚本が悪いのかディーナというキャラクターが添え物のような印象を受ける。
元々細かな説明を省いたような作りの映画だからある意味仕方ないのかとも思うが、いつからカーティスを愛していたのか、エフィの想いを知っていてどうしてカーティスと結婚したのか、それらのキーポイントがまるでわからない。ただ流されているお人形のようなディーナ像は、わざわざビョンセというスターを持ってきただけにとても残念な気がする。


ショービジネス界の厳しさとえぐさを描いたストーリーは、ある意味ステレオタイプでもあるし、使い古された感も確かにある。説明不足の割には妙に冗長な印象もある。
しかし、エフィのような生き方に不器用な人間は意外と多いものだし、マネージャーのずるさはのし上がるために必死な、ある意味すがすがしささえも覚える。堕ちていくスターの弱さなどあくまで”人と人”をメインに据えて描いたこの映画は観ていて共感を覚えるキャラがどこかに必ずいるに違いない。


ファミリーという言葉がたくさん出てくるこの映画は、夢を共有した”家族”の再生の物語でもあるのかも知れない。
感動的なラストシーンにそんな気配が少し感じられる。
壊れても別れても、ファミリーはファミリー。一度夢で結びついた仲間は、血を分けた家族よりももしかして濃いのかもしれない。
そんな関係ってちょっと羨ましいような気もするね。

2007-01-16

今月の映画 「幸福な食卓」


映画幸福な食卓-2

映画幸福な食卓-1

「父さんは、今日で父さんを辞めようと思う」。始業式の朝、突然「父さん」が口にした意外な一言。佐和子の中学校生活最後の1年はこうして始まった。三年前に父が自殺未遂を起こしてから微妙に変化した家族。母は家を出て、成績優秀だった兄は大学進学を拒否し農業に従事している。けれども全員揃って食べる朝食だけは変わることはない。
新学期が始まり、佐和子は転校生、大浦勉学と親しくなる。志望校を目指すため、佐和子と友達になりたいと言う大浦。変わり者だが明るく男らしい大浦に影響を受け、佐和子の日常も少しずつ形を変えていく。そんな淡々としながらも平凡な生活の最中、とある事故が起こり・・・・。


「父さん」であることをやめて浪人生になってしまった父親、家を出て暮らしているのにたまに帰ってきては家事にいそしみ「母さん」をまだ捨てない母親、兄は天才児と言われながら大学受験をやめて「学生」を放棄し、女性に惚れっぽく、家では鶏を飼う。そんな家族を淡々と受け入れ、地に足をつけた生活を送る佐和子。

考えれば異常な家族なのに、誰もが妙に幸せそうなのは何故だろう。


佐和子の家族だけでなく、出演者の誰もが魅力的な映画だ。特に勝地涼演じる大浦勉学がいいっ!
異性の好みにはいわゆる好き嫌いの”好み”と「好みがどうとかそういうことではなくて、とにかくこのタイプはには弱い!やばい!」という”好み”があるものだと思うが、私にとって、彼はカンペキに後者。あーいう単純馬鹿で賢いオトコにはどうも弱いんだよねえ。

激しく個人的な意見で申し訳ないけど、

目の前に出現したら惚れちゃうね。マジでやばいですよ、うん。
(ただし○ん年前なら、という条件付だが(汗))


主人公、佐和子を演じた北乃きいちゃんもいい。食事したり、たわいもないことで笑ったりすねたり、表情豊かとは言わないが雄弁だ。特にきりりとした意志的な表情が綺麗な少女である。
ワキを固める石田ゆり子や羽場裕一といったベテランも絶妙な味。えぐみがあったり突出したりしている人間はひとりも出てこないのに、誰もが印象的で個性的なのは役者の質か、監督の腕か。


観る前にはお涙頂戴の作品かと思っていたが、どっこい、あくまで淡々とストーリーは流れていく。佐和子と勉学が織りなす“初々しい交際”も自然で素敵で嬉しくなるほど。(しかし今時の中学生があんな風に並んでお行儀よく給食を食べるもんなのか?)
だからこそ勉学が事故で亡くなった後、泣き叫ばない佐和子の悲しみがじんわりとしみてくる。その彼女に手を差し伸べようと集まる家族。そして残された勉学の家族。
二つの家族の再生の物語を予感させるラストも柔らかい余韻を残す。哀しい物語でもあるのに見終わった後味もいい。


「家族は作るのは大変だけど、その分めったになくならないから。努力しなくてもそう簡単に切れたりはしない。だから安心して甘えたらいいと思う。」

お父さんが「お父さん」を辞めたかったのはきっと「お父さんでいなければならない」という思いがいつしか重くのしかかっていたからではないかと思う。だから「お父さん」を辞めたお父さんも「優等生」をやめたお兄ちゃんも「いいお母さん」を辞めたお母さんも、異常ではあっても幸せだったのだろう。
けれども努力をしなくても「お父さん」は「お父さん」「お母さん」は「お母さん」、そう、なろうとしなくてもそこにいるだけでいいのである

”must(ねばならない)”ではなく”be(そうあること)”でいい。

それに気が付いた彼らはきっと見事に家族を再生していくだろう。
もしかしたら十数年後に佐和子と勉学が作り上げたかも知れない「幸福な食卓」を持った幸せな家族に。



私もそんな風に誰かを守りたい。
そして守られたい、と思う。






はっきり言って拾いモノ!な作品。
切ない気持ちと幸福な想い。
名セリフも多くてかなりオススメです。


2007-01-16

今月の映画 「幸せのちから」


映画幸せのちから


1981年のサンフランシスコ。5歳の息子クリストファーを何より大切に思うクリス・ガードナーは、新型医療機器を病院に売り込むセールスマン。しかし大量に買い込んだ機器は滅多に売れず、家賃も払えない生活が続いていた。そんなある日、彼は高級車から降りた男に成功の秘訣を尋ねたことをきっかけに、証券会社の養成コースに通うことを決意する。人事課長のトゥイッスルへ自己アピールが功をそうして無事に受講者に選ばれるクリスだが、養成コースを受講している半年間は無給でおまけに終了後の採用者は20人の中でたった一人。夢物語と妻は家を出、滞納した家賃のためアパートも追い出される。延滞した税金を強制的に支払わされたあげく、とうとう所持金全額21ドルにまでになり・・・・。


前回の「子宮の記憶」は母親の想いだったが、今回は父親愛がテーマ。名優ウィル・スミスと実の息子である、ジェイデン・スミスとの共演が話題になった作品である。


キャッチコピーは

”全財産21ドルから立ち上がった父子の、実話に基づいた感動作”


確かに痛々しいくらい貧しいの生活の中、一晩の寝床を確保するために教会の列に並び、家財道具一式をぶら下げて養成コースに通い、ヒッピーに持ち逃げされた”彼の財産”である医療機器を取り返そうと地下鉄の駅を走り、公園を走り抜ける。車に轢かれようが(!)なんだろうがとにかく目的のため、最低の生活から抜け出すために必死なクリスの姿は、けなげなクリスファーの様子とも相まって感動的であることには間違いない。

しかし、これでもか!と続くクリスの不幸な生活ばかりがクローズアップされてしまい、彼がいかに優秀だったか、運だけではなく自分の力で幸運を掴み取ったかがイマイチ実感しきれない。おかげでせっかくの”成功した後の感動”も妙に希薄になってしまった。
名優ウィル・スミスを生かして、クリスの「数字に強く、人に強い」面をもっとしっかり見せれば”一過性の幸運物語”ではないリアルさと厚みが出たのではないだろうか。

できれば「ラッキーだったね」ではなく「本当に頑張ったね、よかったね」と思わせてもらえればベストだったのだろうが。


実子ジェイデン・スミスの地なのか演技なのか、とにかくこまっしゃくれて賢くキュートなクリストファーは高感度大。確かにこんな子供のためなら頑張っちゃうクリス父さんの気持ちもわかるなあ。
脇役もそれぞれいい味を出している。



それにしても、あんな赤貧生活の中で勝手に税金を引き落としたり、安ホテルの部屋を追い出したり、法律至上主義のお国柄といえばそうなのかもしれないが、アメリカって血も涙もないのかねー、いやはや。(@@)

キャプテン人形のくだりなんて、泣けますよホント。



2007-01-16

今月の映画 「子宮の記憶 ここにあなたがいる」


映画子宮の記憶 ここにあなたがいる」


裕福な家庭で育ち、何不自由のない生活をしているように見える18歳の真に人は、生後3日で誘拐された過去があった。世間体ばかり気にする父親や上辺だけの愛情をそそぐ母親。そんな生活の中で犯人の女性に奇妙な親近感を抱くようになる。夏休み、親と口論の末家のお金を持ち出した真人はその女性、愛子が住む沖縄へと向う。食堂で働く愛子に出会い、名前と年齢を偽り住み込みでアルバイトを始めた真人と愛子の間には、やがて母子とも恋人ともつかない愛情が芽生えていくのだが、そこにある事件が起こり。。。。


美しい沖縄の風景の中で紡がれる物語はどこか不思議なおとぎ話のよう。
足が地についているようで、どこか頼りない。


映画「フラガール」で白鳥麗子の再来か(笑)と思うようなタカピーな女性教師を演じた松雪泰子が、一転大きな悲しみを背負った薄幸な女性を演じている。これが同じ人間かと思ってしまうくらいの演技は見事。生活に疲れた雰囲気を色濃く纏いながら、そのたたずまいはひたすら美しい。

はっきり言って同じ性別とは思いたくないですな。(爆)


こんな親ならヒネて当然と思うような真人の金持ちの親や、絵に描いたようなやくざな愛子の夫に色々な過去がありそうな飲み屋の女将、ステレオタイプな登場人物はちょっと、だけれども、柄本佑演じる主人公真人や愛子の義理の娘などの若手の無気力さ、頭でっかちさはテレビのドキュメンタリーを見ているようなリアル感。
そのアンバランスさがどこか居心地の悪さを感じさせる。
妊娠した事実を親に言えないというだけで自殺する女の子、セックスはサービスと言い切る危うさ。
そんな中で自分を愛してくれる存在を求める姿は切なく、そしてふてぶてしい。


過去を持つ女性の再生の物語とも、破滅の物語ともとれる結末は評価が分かれるところだろうが、見た後に色々考えさせられる映画ではある。
愛子にとって過去を許されたことは、そして新しい力を得たことは幸せだったのか不幸だったのか。できれば真人のゲームは彼女にとっての幸せだったと思いたいのだが。



2007-01-15

新春名作狂言の会

Yahooのオークションを眺めていたら、2000円という狂言のチケットを発見。値段だけならさほど珍しくはないけど、公演の内容が凄い。東の横綱、和泉流狂言のスター野村万作&野村萬斎親子共演の「二人袴」に、”ミスター狂言”こと西の至宝茂山千作御大の十八番「素袍落」の組みあわせ。この東西王者の対決だけでも凄いのに、おまけに千三郎先生と萬斎王子のダブルトークのおまけ付きという豪華さ。
なんですかこれはっ?!

ついふらふらっとそのまま2000円を入札したら、一撃価格になっていたらしくスルーで落札してしまい。
本日の鑑賞と相成ったわけです。(苦笑)
いやま、この内容なら万難排して駆けつけますけどね。



さすが”狂言界のプリンス”野村萬斎氏の人気か、アクセスの悪い会場にも関わらずほぼ満席状態。お得意のトーク炸裂の千三郎師匠に、天然か計算か判別がつかない独特の間の萬斎氏のトーク。おまけに二人で「雪山」という小舞を一緒にその場で舞ってくれちゃうというサプライズまで!
この学芸会チックな贅沢な前フリだけで充分2000円の価値はあります。


当然東西王者の対決である二つの狂言の素晴らしさは言うに及ばず。
元々、人間国宝千作御大の「素袍落」には定評がありますが、舞台でホントに酒呑んでいるんじゃないかと疑いたくなる演技は、何度見てもため息です。


茂山家の追っかけでもある私は、能舞台のアイ以外では和泉流野村家の狂言をあまり見たことがないのはこの日記を読んでいる方なら先刻ご存じの通り。
久しぶりに拝見した万作&萬斎親子の芸は、茂山家の”笑わせてなんぼ”の柔らかさとはまた違った、いい意味での”計算の高度さ”を感じます。同じ演目を茂山家でも観ているますが、どちらかというとその場のアドリブ的な笑いを重視する茂山家に比べて(いや、充分計算してるんでしょうけど(汗))、動きのひとつひとつを笑いに昇華させるための冷静さやはりすごいものだと思いました。

なによりここん家って動きがすっごく綺麗なんですよね。


実はこの「新春名作狂言の会」は今回で十年目なんだとか。それで初演の時と同じ演目をやることになったそうです。
十年前はどんなだったのかも興味ありますが(今日の公演を見ていた人の中にはそういう方もいらっしゃるのだろうなあ)、もしかして私は狂言というものが一番いい意味で成熟した場面を見ているのかもしれないな、なんてことも考えてみたり。
とにかくこういう”東西王者対決”みたいなものは、単独公演とまた違った面白さがあるし「狂言とはこういうもの」という思いこみや偏りを避ける効果もあるような気がします。こういうコラボが家やジャンルを越えてもっと実現するといいなあ。




というわけで、週末にもまた”うっかりオークションで入札したら落札しちゃった”(汗)な狂言の公演を見に行く予定。
今度は愛する千之丞師と万作氏の対決、2600円也。ぐふふ♪




・・・・しかし、 新宿文化センターのアクセスの悪さってどうなの ??



2007-01-14

久しぶりのオペラ♪

METと聞いて「お、メトロポリタン歌劇場がどうしたって?」と思う人はかなりのオペラ好きだと思う。この米国随一の歌劇場メトのオペラの素晴らしさはよく知られるところではあるけれど、そうそうかの国まで観に行くわけにはいかない。
それじゃあ悔しいしなんとかしたい!、と思った人がいたのかいなかったのか知らないが、そのオペラを日米欧にそのまんまライブで配信してしまおうという大胆な試み、それが今回の「MET ライブビューイング」である。

そういえばここのオペラを見たいからと視察の日程をわざわざ調整して渡米した首相がどっかにいましたね。(苦笑)


これは結構面白そうだなと思ってたら、またもやモニターに当選いたしましてw。(笑)
友人を誘って観に行ってきました。


ものはベルカント・オペラの最高峰といわれ、曲の美しさで世に名高いベッリーニの傑作「清教徒」。ソプラノ、テナー、バリトンと出演者全てにかなりのレベルが要求される難曲で、なかなか上映されることがないというシロモノである。私も話は知っていても観たことはない。
今回は次期歌姫との評価も高いアンナ・ネトレプコがヒロイン、エルヴィラを演じるってのにも興味津々、いやでも期待は高まるってものです。

しかし、モノはあくまで「映像」。いわゆるテレビドキュメンタリーの高級版みたいなものであるから、逆にこまでその質や良さを伝えられるのかというところも眉唾な気がしていたのだが、これがなかなか面白い。
幕と幕の間にいちいちゲストのコメントやら解説が入るのは評価が分かれるところだろうが、肝心の舞台の方は複数のカメラを駆使してアップやらヒキやらで構成されているので表情もわかりやすいから入り込みやすいし、字幕のおかげでイタリア語が分からなくても理解できるのもいい。
これで4000円ならば、特にオペラって観てみたいけどハードルが高そうで、という初心者にはドンぴしゃではないだろうか。これでに2回ほどオペラというものを肌で感じておけば、生の舞台を観ても結構すんなりいくのではないかと思う。


アンナ・ネトレプコは想像以上の歌唱力。彼女の為に演出も変えたというから重圧もかなりのモノだっただろうが、見事な姫君っぷりでした。エリック・カトラー、フランコ・バッサルロ、ジョン・レイリーといった出演者のレベルもかなり高く、久しぶりにオペラの世界を堪能させて頂きました。叔父上のいい人っぷりも素敵だった。(笑)


これはなかなかと、あの世紀のテナー、ドミンゴが出る新作「始皇帝」も観ようかとネットで調べたら既にソールドアウト。
うーむ、やっぱりそうはうまくはいかないか。(苦笑)



プロフィール

hijiri

Author:hijiri
長年のITまみれな生活を経て、着物と煙管、和文化と美しいもの、酒と美食(B級)をこよなく愛する生活。
■日本の文化と”今”をつなぐ再実感マガジンJapaaanでライターやってます。
http://mag.japaaan.com/
■cafeglobe読者エディター、やらせて頂いてます。
http://www.cafeglobe.com/2013/06/030174cafeglobe_readers.html
■ミラーサイトはこちら http://ameblo.jp/hijiri-info

最新記事
最新コメント
最新トラックバック
月別アーカイブ
カテゴリ
上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。