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2005-06-03

今月の映画 「ラベンダーの咲く庭で」


映画ラベンダーの咲く庭で


単純に泣きたい、はたまた笑いたい人には向かないかもしれない。

けれどとても丁寧に作られた、切ない映画。


主人公(?)は二人の老姉妹。イギリスはコーンウェルの海岸沿いの家で静かに暮らしている。どうも姉は一度結婚したことがあるようだが、妹はまともに恋愛もしたことがない様子。その妹が海岸に流れ着いた若い男性を見つけ、はからずも心を奪われてしまい・・・。

言葉も通じない美しい若き異国のバイオリニスト。そこにさらに登場する、美しく才能にあふれ、さらに彼と同じ言葉を共有するファム・ファタール。

彼らが入り込むことによって、静かな日常に、平穏な田舎の町に波紋が広がっていく。


失いたくないという気持ち。あきらめていたことだけに一度手に入れてしまったらさらに執着は増えるものだ。けれど、反対に自分の老いも、わかりすぎるくらい自覚している。そのあやういバランスの中で、彼女たちは彼を失う予感にさいなまれ、苦しむ。

彼を見つけたのは偶然かもしれない。けれど、その偶然にさえ、なにか権利のようなものを求めずにはいられない気持ちを誰が笑えるだろう。


「私が最初に彼を見つけたの」


妹、アーシュラのセリフに、たぶんこの映画の全てが語られている。


主役二人を演じたジュディ・デンチとマギー・スミス(どうしてもマクゴナガル教授に見えてしまうんだけど!)は言うに及ばず、この映画の良さはパワフルな家政婦のミリアム・マーゴリーズや医師役のデイヴィッド・ワーナーの存在も大きい。

彼らの小心と自分勝手な思い、入り込んできた異物に対する興味と恐怖。ベテラン俳優はそのあたりを余すことなく演じきっている。

そういう村の人々のリアルな描写に比べると、流れ着いた本人のアンドレア役のダニエル・ブリュールや彼を表舞台に連れ去るオルガ役のナターシャ・マケルホーンの描写は、同じ自分勝手でも後味の悪い気分が残る。彼らの背景や心の内もまるで言及されていない。若さ故、という解釈もあるだろうけれど、せっかくこれだけ他の部分を丁寧に描いた映画なのだから、上映時間を少し延ばしたとしてももう少し夢は見せて欲しかった、と思う。


現実はそんなもの、と言われたら、それまでだけど。


最後に、静かにパーティを抜けて帰って行く姉妹が哀しい。

せめて、形だけでもいい、追ってあげて欲しかった。



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長い年月、私は来るはずのない王子様を待ち続けた。

そしてある日、とうとうその人はおとぎの国から海を越えてやってきた。

彼と過ごした短い季節、私は心が震えるほどの幸福感を味わった。

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恋は落ちてしまうものだけど、それを受け入れられる時間には限りがある。

必ず老いてゆく存在である人間なら、それは仕方がないこととしても。

図らずもそのぎりぎりまで待ち続けてしまった人にとって、出会うことが幸せか、知らないままの方が幸せなのか。

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プロフィール

hijiri

Author:hijiri
長年のITまみれな生活を経て、着物と煙管、和文化と美しいもの、酒と美食(B級)をこよなく愛する生活。
■日本の文化と”今”をつなぐ再実感マガジンJapaaanでライターやってます。
http://mag.japaaan.com/
■cafeglobe読者エディター、やらせて頂いてます。
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