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2012-01-20

今月の映画 「J・エドガー」

弱冠29歳で捜査局長官となったフーバーは、組織内を改革し、連邦捜査局を米国内における最高の諜報機関へと成長させる。やがて、フーバーは自らの権力と組織の諜報能力を利用し大統領や政治家らを裏から操るようになる。



いろんな意見はあると思うが、批判を恐れずに言ってしまう。



こういう背景で作られたというのが本当なら、
FBIこそ恐ろしいテロ的組織じゃないのか?!


そもそも、フーパー長官の子孫から名誉毀損で訴えられないのだろうか?


ホント、こういう映画を作っちゃえるアメリカという国の懐の深さには
しみじみ敬意を禁じえないです。(マジ)




映画はひたすら初老の域に達した男のモノローグと語りだけで進んでいく。
どう見ても好々爺とは言いがたい、一方的な言い方も居心地悪く感じる上に
まるで歴史の教科書をひたすら読まされるような暗く地味な画面構成は、
あの感動作「ミルク」と同じ脚本家とはとても思えない。
たぶん過去最高と言ってしまっていいディカプリオの演技をもってしても
残念ながら観客を引き込むことには失敗してしまっているように、個人的には思えた。




なにかが乗り移ったかのディカプリオの演技は
繰り返すがたぶん彼の歴代の中でも最高と言っていい、と思う。
特に初老の演技は、あれ?これ本人?と一瞬思ってしまうほどの出来だ。
また母親を演じるジュディ・リンチの演技もさすがとしか言いようがない迫力だ。
片腕であるクライドを演じるアーミー・ハマーもなかなかの熱演で、
俳優の演技も監督の意向もむしろアカデミーを意識したとしか思えないのだが、
いかんせん、どのキャラクターにも感情移入できないのだ。



これは映画という”娯楽”の中では、私は致命的だと思う。



アメリカンペーパーバックやテレビ番組で育った世代ににとって
フーパー長官というのは、現実はどうあれアイコンでもありヒーローだ。
それなのにここでは恐ろしいほどのコンプレックスの固まりで
平均以下の自分を持てあますコミュニケーション能力不足なマザコン男でしかない。
その個人の狂信がアメリカの巨大な組織を作り上げていって”しまう”、その怖さは
もしかしたらホラーと言ってしまってもよいのではないかとも、正直思ったりする。


本当に、エドガーの「正義」は、「100%の正義」だったのか?


どこの世界に自分の生活を盗聴されたり記録されたりしたい人間がいるだろうか。
人間というものは、最低の尊厳は絶対的に保障されるべきものだと思うが
それをまったく無視した人物がここで描かれるJ・エドガーことフーパー長官であり
母親もクライドもミス・ギャンティもそれをとめるどころかむしろ幇助してしまっている。
確かにいきなり家を爆破される状況は好ましいとは言わないけれど、
それを防ぐために「人を管理する」ことは、正しいことはやはり思えない。



そしてその「人を管理する」ために作られた組織がFBIなら
どれだけ高尚な目標とその恩恵にあずかる後世があったとしても
ゆがんだ意識が作り上げたゆがんだものに見えてしまうのだ。



こういう歴史的なドキュメンタリーネタ、
ある人物の「実は」を描く作品が好きな人もいるだろう。
私もけしてエドガーが悪人とは思わない。
むしろ悲しく、強く、信念の人であると思う。
だから否定はしないし、こういう作品もあっていいと思うけど、
なにもかもを詳らかにする必要はない、と個人的には思う。



男性同士、それも老人の域の愛情表現が
あれだけエロチズムにあふれたものは見たことがない。
それだけやはり俳優陣の演技が素晴らしかったのだと
こうやって見終わった後でもしみじみ実感したことは付け加えておきたい。


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プロフィール

hijiri

Author:hijiri
長年のITまみれな生活を経て、着物と煙管、和文化と美しいもの、酒と美食(B級)をこよなく愛する生活。
■日本の文化と”今”をつなぐ再実感マガジンJapaaanでライターやってます。
http://mag.japaaan.com/
■cafeglobe読者エディター、やらせて頂いてます。
http://www.cafeglobe.com/2013/06/030174cafeglobe_readers.html
■ミラーサイトはこちら http://ameblo.jp/hijiri-info

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