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2012-06-10

六月大歌舞伎@新橋演舞場




<昼の部>

一、小栗栖の長兵衛(おぐるすのちょうべえ)

二、口上
 二代目 市川猿翁 襲名
 四代目 市川猿之助 襲名
 九代目 市川中車 襲名
 五代目 市川團子 初舞台

三、三代猿之助 四十八撰の内 義経千本桜(よしつねせんぼんざくら)
川連法眼館の場
市川猿之助宙乗り狐六法相勤め申し候





先日の亀博でまんまと思惑に引っ掛かり
一度でいいから亀治郎の宙乗り狐六法を観たい!と思ってしまったタイミングに
その彼の猿之助襲名、そしてなにより香川照之の中車襲名の口上とくれば
一度はチケット入手の困難さに諦めたものの見たくて見たくてしょうがなかった。




なんといっても今回の話題は
良くも悪くも俳優香川照之の歌舞伎界への復帰(?)だろう。


確かに既に名声も確立した演技力には折り紙つきの名優ではあるものの
あのがっちりと固まった伝統芸能の世界に齢40オーバーで飛び込めたというのは
すごいというより既にイリュージョン並みの事件だ。


ある意味色モノである自分の存在も覚悟し、
けれども息子を得た時から彼の名前をつけるところから
虎視眈々と自分の血のルーツである歌舞伎界への復帰をもくろみ
結果的に自身の野望を通しきったそのパワーには、
うらやましさと人間の性のようなものまで感じてしまう。

通常の俳優業もやめずに二足のわらじをはくことも
俳優としての香川の名前を維持すると言う特例にしたって
今までの歌舞伎界ではたぶんあり得ないことだったに違いない。



人の一念は岩をも通す。



様々な伝統芸能を見るが、多かれ少なかれあるとはいえ
たぶん歌舞伎が一番「家」というものに縛られ守られている、と思う。
長年歌舞伎役者をやってはいても、
”その家”に生まれなければ、一生主役をはるようなトップ争いはできない。
逆にその「血」さえ持って生まれれば、今回のように
素人が舞台に役付で上がることができることを彼は証明してしまったわけで
それはそういう場であるとはいえ、相当重たいものだと思う。
彼にとっても、周りにとっても。


けれどもそんな中車の口上も演技も、思いかげず冷静で穏やかで
以前テレビでみたような変な熱はきれいさっぱり消えていた。
確かに歌舞伎役者として考えればけしてうまくないし
(若手の天才、亀治郎=猿之助の横ではさらに比較にさえならない)
腹に軸が通ったというか、どこか柔らかくなったというか。
思ったより違和感のない、歌舞伎役者としての彼を観た気がする。


相当な努力はしたのだろうし、これからも大変だろうが
好きだった俳優香川照之ではなく、市川中車としてどうなっていくのか
妙に頼もしく大物感だたよう子息の團子と共に
ミーハー気分も合わせて楽しみにしたいと思う。







そしてなんといっても今回の個人的な目玉は新猿之助の
義経千本桜、川連法眼館の場の狐である。


いやはや、ひたすら素晴らしかった。
歌舞伎を見てここまで感動したのは初めてかもしれない。
いや、まじで。


なんていうのか、今だからできる、今でしかできない演技。
若く充分体力がある肉体と、完成にほぼ近づいた演技力が拮抗するこのタイミングで
えぐいくらいのエネルギーを技術力で抑え込んだような演技は
たぶん今しか見れないのだろうと思う。


若さゆえの突っ走る恋愛はその時にしかできないように。


彼の天才っぷりがこれからどのように円熟味を増していくのか
中車とは別にものすごく楽しみになった。






しかし、今まで結構フラットだったのに
すっかり澤瀉屋びいきになってしまった今回の大歌舞伎。
中車の襲名も猿之助の亀博も狐も、全てがこのプロモのためだったとしたら
澤瀉屋の沈着さとしたたかさは恐るべし。



そしてそういうクレバーさは、けして嫌いじゃないんだよね、私(笑)





口上で、新猿之助が述べた
哲学者で『ヤマトタケル』の原作者である梅原猛先生に頂いたというこの言葉。


「フリードリヒ・ニーチェという大哲学者があって、運命愛という言葉がある。
外側から降りかかった運命をさも自分が望んだかのよう愛する、これが運命愛で、
君はその運命愛に従ってこれから生きなくてはいかん」


振りかかった運命をさも自分が望んだように。


この言葉だけでも、個人的にはこの舞台を観た甲斐は充分あったと、
それも記しておきたいと思う。




最近時々感じるから。
選ばない人生はたぶん一番自由なのかもしれない、と。




やっぱり記念なので買ってみました(笑)




中は伊賀の堅焼きせんべい。




そして、この日のいでたちはこんな感じ↓



紺の透ける薄物に目出度さを寿ぎて鼈甲の鶴の根付と有職文様の帯で
いつもよりはたぶんフォーマルなはず(笑)
小物はもう夏物。


この格好でつい素足に下駄を履こうとしたのは内緒です(爆)


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プロフィール

hijiri

Author:hijiri
長年のITまみれな生活を経て、着物と煙管、和文化と美しいもの、酒と美食(B級)をこよなく愛する生活。
■日本の文化と”今”をつなぐ再実感マガジンJapaaanでライターやってます。
http://mag.japaaan.com/
■cafeglobe読者エディター、やらせて頂いてます。
http://www.cafeglobe.com/2013/06/030174cafeglobe_readers.html
■ミラーサイトはこちら http://ameblo.jp/hijiri-info

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