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2013-04-18

今月の映画 「ロイヤル・アフェア 愛と欲望の王宮」

精神を病んだデンマーク国王クリスチャン7世の侍医となったストルーエンセは、
王の唯一の理解者となり、友人として親交を深めていく。
一方、孤独な王妃カロリーネもストルーエンセに心ひかれ、2人は恋仲になる。
啓蒙主義に傾倒するストルーエンセはやがて王の言動を操り、事実上の摂政として政治改革を進めていく。
一度は成功したかに見えた改革は、しかしそれを快く思わない貴族たちの陰謀に巻き込まれ・・・・




事実と真実は違う。
わかっているようで意外と混同されがちなことだ。

一方から見れば悪であっても、それが本当に悪であったのか
それとも美しくも愚かな信念から派生した善だったのかは
結果としての「事実」からはけしてわかることはない。

ちまたにあふれる歴史の解釈はあくまで全て「if」だ。
だからこそ答えはなく、永遠の興味をかきたてる。



ヨハン・フリードリヒ・(フォン・)ストルーエンセ(Johann Friedrich (von) Struensee。
デンマークの国王クリスチャン7世の侍医として君臨し、
事実上の摂政として政治を操ったと言われる人物。
デンマークでは教科書にも出るほどの有名な人物らしいが、
どちらかというと王に取り入り、王妃を堕落させ、
反対派にとらえられた後は自分の保身のみに走った人物として、
あまりいい印象に描かれることはないと聞く。


日本の歴史でいうと、田沼意次か井伊直弼というところだろうか。



しかし、この作品の中のストルーエンセは、むしろ控えめで冷静で理想に溢れ、
ただ自分の信じる正義と周りの幼さに巻き込まれた不幸な男性として描かれる。
この映画でストルーエンセを初めて知った人は確実に彼を悲劇のヒーローとして見るだろう。
彼と抜き差しならない関係に陥る王妃も、むしろ国民に人気のあった国王を裏切った
(さらには王を虐待していたという説もあるらしい)悪女として知られるそうだが、
やはりこの映画の中では孤独の中で静かにたたずむ薄倖の女性として描かれている。



キャスティングは素晴らしい。
”デンマークの至宝”マッツ・ミケルセンはさすがの一言で(007の悪役もよかったが)、
善人で大人である故に運命に翻弄されるストルーエンセを静かな色気で演じているかと思えば、
王妃役のアリシア・ヴィキャンデルも瑞々しい少女時代から母の強さまで気高く美しく演じている。
弱く悲しい国王クリスチャン7世を演じたミケル・ボー・フォルスガールも
映画初出演とは思えない痛々しさで演じ、確実にこの三人のすべてが主役であり
誰が欠けても成立しなかっただろう。
さらには、これもデンマークを代表する女優トリーネ・ディアホルムがさすがの目力で狡猾な皇后を演じており、
人物の力による説得力がさらに物語の説得力を高めていたと思う。



物語はあくまで史実でありわかりきった結末であるにも関わらず、
歴史ものにありがちな暗さもなく、美しい自然ときらびやかな宮廷を無理なく共存させ、
けれども考えさせられる部分もきちんと盛りこみ、130分という長時間も飽きさせない。
歴史ものとしてもラブストーリーとしてもとらえることのできる、
なかなかの良作ではないだろうか。





ストルーエンセは本当に悪人だったのか、
それとも理想と愛に目を曇らせ足元を見誤っただけの愚かな善人だったのか。
結果として彼は断首された罪人として、王を操り栄華ほしいままにした悪人として名を残したが、
面白いことに彼が実行した改革は時を経て後世でまた返り咲いているのだ。



クリスチャン7世は、ストルーエンセ処刑の3年後、
1775年に描いた絵にこのように書いたらしい。

 "jeg havde gerne reddet dem begge to"
(2人とも助命できればよかったのに)。


王妃も最後まで彼をかばい、嘆願書を書いたとの記録があるらしい。
本当に利用されただけの人物が本当にそこまで思ったりするのだろうか。


それは、その場、その時間軸の中にいた人間でなければ永遠にわからないことだけど。



こちらはデンマークのポスター。
素敵ですね。


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プロフィール

hijiri

Author:hijiri
長年のITまみれな生活を経て、着物と煙管、和文化と美しいもの、酒と美食(B級)をこよなく愛する生活。
■日本の文化と”今”をつなぐ再実感マガジンJapaaanでライターやってます。
http://mag.japaaan.com/
■cafeglobe読者エディター、やらせて頂いてます。
http://www.cafeglobe.com/2013/06/030174cafeglobe_readers.html
■ミラーサイトはこちら http://ameblo.jp/hijiri-info

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