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2007-07-15

今月の映画 「ブラインドサイト~小さな登山者たち~ 」


映画 ブラインドサイト


世界的に有名な盲目の登山家エリック・ヴァイエンマイヤーは、チベットのラサで盲人学校を設立した盲目のドイツ人教育家サブリエ・テンバーケンから、一通の手紙を受け取る。それが発端となり、盲人学校の6人の子どもたちを連れ、ヒマラヤ登山に挑むプロジェクトが始まった。
それぞれ過去を背負った6人の子供たち。想像以上の苦難の中、子どもたちを囲む大人たちの価値観の対立やそれぞれの思惑や悩みが浮き彫りになる中で、子どもたち、そしてそれをサポートする大人たちが得たもとのは?



チベットでは盲目であることが、前世で悪行をつんだこととイコールであるらしい。杖をつきながら歩く子供たちに、大人たちが罵声を浴びせるオープニングには怒りさえ覚える。
「蛇の呪い」だと言い切る親、全員が盲目のために寄り添うように生きている家族に向かって、役立たずは全員死んでしまえばいいと平気で言う親戚の人々。
「村一番の秀才だったのに、役立たずになってしまった」という言葉は、人ひとりの人生をつぶしてしまうには十分なほど重い。


そんな彼らに救いの手を差し伸べた、自身も盲目のサブリエ・テンバーケン。
そしてエベレスト登頂に成功した盲目の登山家エリック・ヴァイエンマイヤー。

彼らの思いは、6人の子供たちをチョモランマ(エベレスト)への登山への挑戦という一大プロジェクトにと発展する。

「頂上に立てたなら、きっと人生が変わるはず」





けれどもこの映画は、けして美談ではない。




険しい雪道を登っていく時間軸の中で、主軸として描かれるのは、「登頂」そのものが目的で、その感動を子供たちに感じさせてあげたいと願う登山家たちと、「チームワーク」を主眼におき、全員が頂上にたどり着けないのならば全員で下山することが重要なのだと主張する教育者たちの対立だ。
さまざまな問題や思惑の中、競争社会的と平等社会、西洋と東洋、母性と父性といった中での価値観のエゴの対立が浮き彫りになっていく。

そこにフラッシュバックされる、それぞれの子供たちの辛い過去や苦しい生活の状況。

救いたいと思う気持ちは同じなのに。


感情的になっていく、サブリエと学校運営のパートナー、ポールの姿と、厳しい山の現実を見据えて冷静になっていく登山家たちの葛藤。
けれども、残念ながら子供たちの”本当の”思いは、描ききれていなかったように思う。



・・・・・本当に、引き返して、よかったの?

それは、大人が「それが正しいことだから」と言ったからではなくて?


見終わった後のその疑問は、今だに消えることはない。




この試写会には終了後に舞台挨拶があり、プロデューサーの他に、なんとそのサブリエ氏とポール氏がチベットから駆けつけるという素晴らしい演出があった。
なぜか最前列どまん前に座っていたうえに、なんとかカタコトの英語くらいは聞き取れることもあって、生の彼らの言葉を本当に丸ごと感じることが出来たのだが、その中で感じたのは、やはり彼らの中には”平等”が主軸にあり、だからこそ、このような素晴らしい活動が(あえてボランティアとは言わない)できるのだということだ。

素晴らしい功績も含め、チャレンジする子供たちと一緒に険しい山に登り、なによりも感情的でヒステリックな部分も余さずにフィルムに撮らせたということだけでも、彼らは尊敬に値する。
けれどもやはり一人ひとりの子供たちを、保護する対象としてではなく、一人の人間としてみているのだろうか、という疑問が捨てきれない。
そんなことをしていたら、とても学校運営などできないという考えもあるだろう。彼らも十分に”子供たち”のことを考えているに違いないのだから。

けれども、私ならきっと「自分のせいで足をひっぱった」と思い悩むだろうと、思う。
もしかしたら、もっと高みにいけたのかもしれないのに。

それとも嫉妬にさいなまれるのだろうか。
自分だけができなかったと泣くのだろうか。

それでも、やっぱり私は、最後の三人だけでも「タシの山」へ行かせてやりたかった、と思う。
そんな風に感じる私は頂上に連れて行ってあげたいと願ったエリックたち登山者たちのように、「頂上を目指す」人間なのかもしれない。




正解はない。
だからこそ、考えさせられる映画である。

あなたなら、目の前に世界の屋根が見えているとき、素晴らしい偉業がその手でつかめる瞬間、目的と過程、どちらを選びますか?

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プロフィール

hijiri

Author:hijiri
長年のITまみれな生活を経て、着物と煙管、和文化と美しいもの、酒と美食(B級)をこよなく愛する生活。
■日本の文化と”今”をつなぐ再実感マガジンJapaaanでライターやってます。
http://mag.japaaan.com/
■cafeglobe読者エディター、やらせて頂いてます。
http://www.cafeglobe.com/2013/06/030174cafeglobe_readers.html
■ミラーサイトはこちら http://ameblo.jp/hijiri-info

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