--------

スポンサーサイト

上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。
2009-01-19

今月の映画 「007 慰めの報酬」



運命を共にする覚悟を決めるほど愛したヴェスパーに裏切られ、命まで絶たれてしまった。初めて愛した女を失い、かつてない怒りと悲しみに震えるジェームズ・ボンドは、ボスのMとともにミスター・ホワイトの捜査を開始する。
ボンドの心の動きを察知したMに「MI6のミッションの遂行は絶対。どんな場合も決して感情に流されてはならない」と忠告されるが、彼の復讐への燃える想いは断ち切れない。
ヴェスパーを操っていたミスター・ホワイトを尋問し、背後にいる組織の存在を知ったボンドは、早速捜査のためにハイチへと跳び、知り合った美女カミーユを通じて、組織の幹部であるグリーンに接近。環境関連会社のCEOを務める男だが、裏ではボリビアの政府転覆と天然資源の支配を目論んでいることをつきとめる。ボンドは復讐心を胸に秘めながら、グリーンの計画阻止に動くのだが。
果たして復讐が、心の〈慰め〉になるのか? 復讐の見返りとして得られる〈報酬〉はあるのか? その〈慰めの報酬〉を受け取ることで、何を得て、何を失うのか?




ご都合主義なストーリーはは007のお家芸だが、素晴らしいアクションシーンの数々がそれを凌駕する。
ファーストシーンのカーチェイス、ルパン三世か怪人二十面相かと見まがうようなビルをぬって繰り広げられる追跡シーン。砂漠上空の飛行機バトル、崩れていく巨大ホテル内の肉弾戦。
”007”というブランドが好きな人ならば、これだけでも十分見る価値はある。


最初は青い目金髪のジェームス・ボンドなんて、と色物扱いだったダニエル・クレイグだが、見事なボンド振りは今ではすっかり歴代の中でも一、二を争う人気ぶりだ。
「若き日のジェームス・ボンド」という斬新な視点だった前作から続く今作も、熱くてセクシーなボンド像を披露している。
ロシアのモデル出身のオルガ・キュレンコ演じるカミーユとの同志的な描き方も、今までのボンドガールとは一線を課していて、007は現代のヒーロー像に生まれ変わったのだと確かに思えるできばえである。今時のヒーローはけしてステレオタイプでも、完璧でもない。


だからこそ残念なのは、これがあくまで「続編」でしかないこと。
前作から一時間後に始まるストーリー、だからなのか、既に天に召されたはずの前作ヒロイン・ヴィスパーの名前だけがやたらと亡霊のように一人歩きする。
死んだ人間がキーパーソンとしてうごめく映画といえば、古典の名作「レベッカ」を思い出すが、ヴィスパーはあくまで前作でも脇役でありヒロインでしかない。
あくまでキレのいいアクション映画である007シリーズの一作を彼女に対するオマージュとしての単なる続編としてしまったことで、非常に中途半端で消化不良な結果に甘んじてしまっている。
人気沸騰した前作を意識したくなるのもわかるような気がするが、だからこそこれひとつで楽しめる単発の面白さにこだわってほしかったように思う。
007というのは、それができていたからこそ、”007=ボンドの映画”、であったのだから。




この映画を観ていると、男性には”愛する女”と”楽しむ女”の二種類があるのだな、とふと思う。
世紀のプレイボーイ、ジェームス・ボンドを一般論にする気はないが(笑)、同じように命を懸けて彼を愛したとしても、喪失感に苦しんでくれるか、ただ罪悪感だけなのかの差は歴然のように見える。

Mが言う。

「ただあなたを空港で迎えただけの女性よ。立派ね、ジェームス。どんな女もあなたにかかれば思い通りね」

そうやって彼に惹かれたために、結果的に石油漬けになって殺されたとしても、自分から彼を裏切って死んだ女にはかなわない。
愛した男に愛されなければ、究極のところ意味が無いとしたら。
欲しいものは同情ではなく、愛情なのだから。

この映画の後味の悪さをひとつだけあげるとしたら、そんな不公正さとせつなさ、そして人生は不公平で理不尽でしかない、ということなのかもしれない。



スポンサーサイト

コメントの投稿

管理者にだけ表示を許可する

プロフィール

hijiri

Author:hijiri
長年のITまみれな生活を経て、着物と煙管、和文化と美しいもの、酒と美食(B級)をこよなく愛する生活。
■日本の文化と”今”をつなぐ再実感マガジンJapaaanでライターやってます。
http://mag.japaaan.com/
■cafeglobe読者エディター、やらせて頂いてます。
http://www.cafeglobe.com/2013/06/030174cafeglobe_readers.html
■ミラーサイトはこちら http://ameblo.jp/hijiri-info

最新記事
最新コメント
最新トラックバック
月別アーカイブ
カテゴリ
上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。