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2009-02-11

今月の映画 「オーストラリア」





第二次世界大戦前夜のオーストラリア。イギリス人貴族のレディ、サラ・アシュレイは、夫を捜しに北部の町・ダーウィンにやって来た。彼女を迎えたのは無骨なカウボーイ、ドローヴァー。夫の領地に着いたサラは、夫が何者かに殺されたことを知る。彼女に残されたのは、広大な牧場と1500頭の牛だった。牧場を立て直すため牛を売ることを決心したサラは、ドローヴァーの力を借り、牛を引き連れ出発する・・・。




植民地時代のオーストラリア、未開の地と土着の人々の独特の文化、肌の色で決まる差別と白人至上主 義、戦争という公平に降りかかる不条理、美しい女性と荒くれ男との激しい恋愛ストーリー。

どこかの新聞の映画評に「現代版 風と共に去りぬ」だというのがあったが、まさに言いえて妙、そのイメージで臨んでそう裏切られることはない。
主役二人も現代の誇るセクシー男優ヒュー・ジャックマンと美女にコール・キッドマンとくれば、けっ してクラーク・ゲーブルとビビアン・リーに引けはとっていないし、美しい景色を背景に繰り広げられる美男美女のラブシーンは、それだけでも十分非日常の夢を見せてくれる。


こう書くと、今までの名画の焼き直しのようにも感じるが、この映画のオリジナルなところは、女性の ”自立”だけでなく、”母性の目覚め”にまでテーマを広げたところだろう。
現在もなお、未解決な社会的問題としてオーストラリア社会に影を落とす“失われた世代(Stole n Generation)”問題を巧みに取り入れたストーリーの中で、ヒロイン・サラとアボリジ ニと白人のハーフの少年ネラとの交流は、社会的歴史的な問題をわかりやすく私たちに提示するだけでなく、かたくなだっ た彼女が母として母性を目覚めさせていくくだりをうまく描くファクターともなっている。

また、ヒーローであるドローヴァーにしても、過去の記憶からかたくなに心を閉ざし、他人を排除し自分にこだわる のだが、その彼もサラによってネラによって、異性への愛、家族への愛を思い出していく。

その変化を無理なく受け入れることができるのは、アボリジ ニの少年ネラの、本当に澄んだ瞳のせいだ。
母親が目の前で死ぬような体験をし、孤独で危なげな子供であるのに、どこかアボリジニのスピリチュアルな人生観を体現しているような存在感。
彼のイノセントな子供らしさとたくましさは、どこか不思議に父性も感じさせる。

このネラがいるからこそ、集う人はまとまっていく。
アボリジニと白人の架け橋として、皆をひとつにしていくのだ。

彼自身が”クリーム=ハーフ”であるが故に。


そう考えると、人は誰かを愛し守ることで、強くしなやかにやさしくなっていくものなのかもしれない。
もちろん、恋愛も楽しいし、家族がいなければ不幸なわけではない。子供がいなくたって十分幸せになれる。一生恋をするのも楽しいだろう。
そういう意味ではなく、もっと大きな意味での”ファミリー”。
そんな大きな愛に満ちた世界であれば、映画で描かれたような人種問題も文化的な差も、経済的な問題も、もっと暖かい解決方法を見出せるのかもしれない。


唯一残念だったのは、どこかステレオタイプ的なアボリジニの描き方と、まさに二部構成といえる中盤のだれさ加減だ。
最後まで見れば、上に書いたようにただの自立ではなくもっと大きな愛に目覚めるために必要だったエピソードだとはわかる。
わかるけれども、ばっさりと前半、後半に分かれてしまう演出は、むしろ前編・後編として細部まで描いたほうが、しゃきっとひきしまった作品になったのではないかと思う。


男が男であり、女が女であった時代。
わかりやすい悪役、ドラマティックな時代背景にエキゾチックでノスタルジックなセットや衣装(キッドマンのためだけに2000着が作られたそうである(!))。
日本で言うところの水戸黄門のようにわかりやすい物語と美しいオーストラリアの大地の風景は、ちょっと中盤の”間”さえ乗り越えれば、きっと安心して別世界に連れて行ってくれることだろう。


しかし、キッドマンって、あれだけのクール・ビューティでどうしてあんなに「お母さん」的な役が似合うんでしょうね??









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プロフィール

hijiri

Author:hijiri
長年のITまみれな生活を経て、着物と煙管、和文化と美しいもの、酒と美食(B級)をこよなく愛する生活。
■日本の文化と”今”をつなぐ再実感マガジンJapaaanでライターやってます。
http://mag.japaaan.com/
■cafeglobe読者エディター、やらせて頂いてます。
http://www.cafeglobe.com/2013/06/030174cafeglobe_readers.html
■ミラーサイトはこちら http://ameblo.jp/hijiri-info

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