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2010-09-05

今月の映画 「ソルト」


着物もドレスも、ジーンズも。

CIAエージェントとして働くイヴリン・ソルトは、自分でも知らないうちにロシアのスパイの容疑をかけられてしまう。身に覚えのない嫌疑を晴らすため、そして自分を陥れた黒幕の正体を暴くため、あらゆるスパイ技術を駆使したソルトの孤独な逃亡と戦いが始まった・・・・


私のお気に入りのひとつに「シュリ」という韓国の映画がある。
二重スパイになるために子供の頃から養育され、それが正しいと教えられ、
そして初めての愛を知ったとき、その自分の運命と愛の板ばさみで苦しむ、
そして愛した男のために、自分を犠牲にする、そんなストーリーだ。

この「ソルト」という映画も、これと基本は同じだな、と感じながら見ていた。


ソルトは何者なのか?という謎を開示しないように作られていることもあって、
彼女はCIAの味方なのかそれともロシアの二重スパイなのか、
ラスト近くまではグレーな存在として描かれる。
行動も一転二転、つい白か黒か、な視点で見てしまいそうになるが、
見終わって、私は彼女は途中までどちらでもなかったのだと思っている。


自分の運命も役割も嫌というほど知っている。
それを裏切ることはもはやできないことも知っている。
なぜならそれは子供時代から身に付けられたアイディンティだから。

だからこそ、彼女にできることはこの穏やかな日常が少しでも長く続いて欲しいと、
来るべき時から心をそむけて、ただこの時間が一日でも長く続くように、祈ることだけ。

それが登場時のイブリン・ソルトだったのではないだろうか。


けれども、愛する伴侶を誘拐されたとき、自分に疑いをかけられたとき、彼女は悟る。
どうあっても、やりたくなくても、やらなければ彼を救えない。
けれどもやりたくない。
けれどもやらなければ、やったと思わせなければ彼の命はない。
そしてそれを実行した時点で、彼を救えてもこの生活は終わりだと。

そんな彼女の苦渋の決断の後、
彼女の目の前で、無残にも彼が”処刑”される。

そのとき初めて、文字通り彼女は「ソルト」になったのだと思う。
泣きもせず叫びもせず、冷静に、彼女は変化していく。
訓練された自分を最大限に利用する凶器、もしくは狂気となるために。

見ている私たちの前で。


これはそんな悲劇のスパイの誕生物語だ。
それ以上でもそれ以外でもない。


どちらかというとエピソード0のような作りなので賛否両論あると思うし、
主人公に感情移入しにくい展開はもう少し練る余地はあったと思う。
彼女の謎をひっぱったために、結果的に消化不良な作品になったことは否めない。
シリーズ化を前提としているらしいラストを考えても、少し残念である。

けれども、彼女の苦しみとあきらめと、そこから生み出される負のエネルギーの行方を
見てみたいと思うことも事実だ。

そんな興味を引き出すことのみが、大きな目的だったとしたら、
この映画は確実に成功したことになるのだろう。


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プロフィール

hijiri

Author:hijiri
長年のITまみれな生活を経て、着物と煙管、和文化と美しいもの、酒と美食(B級)をこよなく愛する生活。
■日本の文化と”今”をつなぐ再実感マガジンJapaaanでライターやってます。
http://mag.japaaan.com/
■cafeglobe読者エディター、やらせて頂いてます。
http://www.cafeglobe.com/2013/06/030174cafeglobe_readers.html
■ミラーサイトはこちら http://ameblo.jp/hijiri-info

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